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現地採用という生き方- インドで働く日本人-日本企業の海外進出と現地採用の誕生1

   現地採用の需要が産まれたのも、日本企業の海外進出に端を発する。そこでまず、日系企業の海外戦略とそれに伴う現地採用の誕生と増加の流れを概観していこう。

 

 日本企業の海外直接投資は第二次世界大戦後の戦後復興していくなかで、1950年代からすでに始まり、60年代には資源獲得を目的に逓増する。それが1980年代のプラザ合意の円高が起爆剤となり、直接投資額と進出件数が飛躍的に伸び、海外進出が本格化していく。90年代初めのバブル崩壊によって、一時的には全体の海外直接投資額は減少するが、トヨタなどの日本の大企業は国内の長期的不況とは裏腹に活況だった欧米経済に市場拡大の可能性を見出し、その地域へ投資を増大させていった。その経営戦略が功を奏し、素早く収益を回復する。また同じ頃、欧米市場の維持と拡大を目的に、安価な労働力を利用しようとASEANへの投資に積極的になる。

 

 生産拠点となった中国や東南アジアは、海外企業を積極的に受け入れることで雇用が増大し、国民全体の所得が上がり内需が拡大し、経済成長を果した。魅力的な市場であり技術移転により生産性が高まった中国とその他アジア地域に対し、日本企業はもはや単なる人件費を抑えるためだけでなく、魅力的な市場と収益性の確保、日本への逆輸入等を視野に投資を拡大させていった。

 

 ごく最近まで日本企業は、アメリカ、イギリス、オランダなどの欧米諸国に多く投資してきた[1]。しかし1997年アジア通貨危機や、2008年のリーマンショックにより世界的不況の中でも経済は成長を遂げ、世界経済を牽引する存在となったアジア新興国潜在的経済成長に目をつけ、投資国もアジア地域に徐々にシフトしてきている。2000年代終盤からますますその傾向は顕著に進んでおり、そのなかで理由は後述するが、インドは投資国として今非常に熱い注目を浴びている。 ボーダレスな今の時代、企業は「コストが安く、必要な物資の調達がより簡単で、よりリスクの低い」最適地(大石、2013)であれば、国境を超えて簡単に海外へ進展し利益を追及する戦略に出ている。国際競争が熾烈さを増す現在では、日本企業でも大手上場一部企業だけではなく、中小企業も生き残りのため海外に事業展開している。今後もこの流れは滞ることなく、日本企業の直接投資と海外生産は増えていくと考えられる。

 

[1] Jetro 日本の直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー) https://www.jetro.go.jp/world/japan/stats/fdi.html

2013 大石 哲之

ノマド化する時代-グローバル化、ボーダレス化、フラット化の世界をいかにサバイブするか?」ディスカヴァー・トゥエンティワン