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インド経済の優位性と懸念材料-現地採用日本人の視点

    政府間でも民間レベルでも日印連携が強化され、日本人就労者も確実に増えているインド。独立から長期に渡り、競争を妨げる社会主義経済政策をとり、低成長に留まっていたが、2000年代に入って高成長路線に離陸した。2003年のゴールドマンサックスのレポート「Dreaming With BRICs: The Path to 2050」では、今後の世界経済を席巻するであろうBRICsの一国として挙げられ、グローバル企業や投資家の熱い期待を浴びるようになった。レポートは、インドがその潜在性を開花させた場合には、2032年には日本よりも経済規模で大きくなると予想していた。実際にリーマンショック以降も内需が牽引し堅調に経済発展は進んでいる。これだけ世界的に期待をもたれているインド経済だが、その伸び代の大きさは何を根拠としているのか。大きな理由として、新中間層の増大と人口ボーナスが挙げられる。

 

 インドの人口は2015年時点で13億1000万人で、13億8000万人の中国に次ぎ第2位である。国連の人口予想では、2022年には中国を抜いて世界第一の人口をもつ国になると考えられている[1]。平均年齢が27歳の若い国であるインドは、今後30年間で労働人口は毎年1.7%増えていくと予想される(OECD, 2010)。

 豊饒なマンパワー国内総生産の増大に寄与し、堅調な経済成長が個々の労働者の経済的豊かさに貢献する。

 堅調な経済成長を経験するインドでは新中間層を生み出し、確実に自分のことを「貧しい」でも「豊か」のどちらのカテゴリーにも属さない、中産階級を自称する人々が増加している。インド国立応用経済研究所(NCAER)が2011年時点でのミドルクラスの定義は、年収が34万ルピーから170万ルピーの世帯を中間層としている。1ルピー=2円で換算した場合、稼得収入が68万円から340万円の世帯がミドルクラスに分類されることとなる。その定義を基にすると2011年には3140万世帯、1億6万人が中間層にあたり、2016年までに2億6千7万人にまで上昇すると考えられている。また、2026年には中間層は5億4千700万人にまで増大すると予想されている。[2]

 可処分所得を手にした消費者は、可処分所得を手にし、購買意欲が刺激されさまざまな物を消費するようになる。中間層や新富裕層が台頭してきているインドでは、耐久消費財の市場拡大が著しくなってくる。例えば、カラーテレビ市場の年間成長率は15%以上、エアコン市場の成長率が30%に達する(苑、2013)。アメリカのコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーの2007年調査では、インドが年経済成長率が7.3%を維持した場合、世帯収入は今後20年で3倍に増えると考えられ、2025年までに消費経済の規模は世界12位から5位にまで上がると言われている。日本が1960、70年代に迎えたといわれる大量消費時代を、今インドは経験していると言えるだろう。

 

[1]United Nations "World Population Prospects The 2015 Revision"

http://esa.un.org/unpd/wpp/Publications/Files/Key_Findings_WPP_2015.pdf

[2]The Economic Times  ‘India's middle class population to touch 267 million in 5 yrs’

 http://articles.economictimes.indiatimes.com/2011-02-06/news/28424975_1_middle-class-households-applied-economic-research